- また、採用で失敗してしまった…。
人事担当者や管理職の皆さん、そんな経験はありませんか?
苦労して採用した人材が、期待していたような活躍をしてくれない。
それどころか早期離職につながってしまい、チームの士気まで下げてしまう…。
部下との関係構築は、企業にとって永遠の課題です。
そして、その最初のステップとなるのが「面接」です。
面接は、単なる選考の場ではありません。
応募者の能力や適性を見極めるだけでなく、入社後の良好な関係を築くための最初のコミュニケーションの場でもあるのです。
しかし、多くの面接官がこの重要なポイントを見落としています。
形式的な質問を繰り返すだけ、自社の魅力ばかりをアピールするだけ、あるいは、応募者の回答を鵜呑みにしてしまう…
これでは、本当に必要な人材を見抜くことはできません。
本記事では、面接官が陥りやすい失敗パターンを分析し、部下との良好な関係を築くための「質問術」を徹底解説します。
面接での質問の質を高めることで、応募者の本音を引き出し、入社後のミスマッチを防ぎ、長期的な信頼関係を築くことができるのです。
もう、面接で失敗したくないあなたへ。
今日から実践できる具体的なテクニックと、注意すべきポイントを余すところなくお伝えします。
インデックス
1: なぜ「質問」が重要なのか?面接の本質を理解する
面接における「質問」の重要性は、しばしば軽視されがちです。
しかし、質問こそが面接官と応募者の間の深いコミュニケーションを可能にし、双方にとって有益な結果をもたらす鍵となります。
面接は「双方向のコミュニケーション」
多くの面接官は、面接を「選考の場」と捉え、一方的に質問を投げかけることに終始しがちです。
しかし、本来、面接は企業と応募者が互いを理解し合うための「双方向のコミュニケーション」の場です。
企業側は、応募者のスキル、経験、価値観などを知りたいと考えています。
一方、応募者も、企業のビジョン、文化、仕事内容などを詳しく知りたいと思っています。
質問は、この双方向の情報の流れをスムーズにし、相互理解を深めるための最も有効な手段なのです。
「質問力」が採用の成否を分ける
優れた質問は応募者の表面的な回答だけでなく、その奥にある本音や潜在能力を引き出すことができます。
例えば、
- あなたの強みは何ですか?
という一般的な質問ではなく、
- これまでの仕事で最も困難だった課題は何ですか?
- どのように乗り越えましたか?
と質問することで、応募者の問題解決能力やストレス耐性、さらには価値観までも見えてくることがあります。
逆に、不適切な質問は、応募者の意欲を削ぎ、企業に対する不信感を抱かせる原因にもなりかねません。
例えば、
- プライベートに関わる質問
- 差別的な質問
これらは応募者に不快感を与えるだけでなく、法的な問題に発展する可能性もあります。
質問で引き出すべき「3つの要素」
効果的な質問をするためには、何を聞き出すべきかを明確にしておく必要があります。
以下の3つの要素を意識して質問を組み立てましょう。
- スキルと経験:
応募者の職務遂行能力を判断するための情報です。
過去の経験や実績、具体的なスキルについて質問します。- どのようなプロジェクトに携わりましたか?
- そのプロジェクトで、どのような役割を果たしましたか?
- 具体的にどのような成果を上げましたか?
など、詳細に掘り下げて聞くことが重要です。
- 価値観と適性:
応募者の考え方や性格が、自社の文化やチームに合うかどうかを判断するための情報です。- 仕事をする上で、最も大切にしていることは何ですか?
- どのようなチームで働くのが好きですか?
- ストレスを感じた時、どのように対処しますか?
など、応募者の内面を探る質問をします。
- 意欲と将来性:
応募者が自社で働くことに対して、どれだけ意欲を持っているか、将来的にどのような貢献をしてくれる可能性があるかを見極めるための情報です。- なぜ当社で働きたいのですか?
- 入社後、どのようなことに挑戦したいですか?
- 5年後、10年後のキャリアプランを教えてください
など、将来を見据えた質問をします。
質問の「種類」を使い分ける
質問には、大きく分けて「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」の2種類があります。
- オープンクエスチョン:
「はい」「いいえ」では答えられない、自由回答形式の質問です。
応募者の考えや意見を引き出すのに適しています。- あなたの仕事観について教えてください
- 当社について、どのような印象を持っていますか?
など。
- クローズドクエスチョン:
「はい」「いいえ」で答えられる、選択肢が限定された質問です。
事実確認や、具体的な情報を得るのに適しています。- 〇〇の経験はありますか?
- 〇〇の資格を持っていますか?
など。
この2種類の質問を、状況に応じて使い分けることが重要です。
例えば、応募者の考え方や価値観を知りたい場合はオープンクエスチョン、具体的なスキルや経験を確認したい場合はクローズドクエスチョン、といった具合です。
2: 応募者の本音を引き出す!効果的な5つの質問テクニック
面接で応募者の本音を引き出すためには、単に質問を羅列するだけでは不十分です。
ここでは、より深く応募者を理解するための、効果的な質問テクニックを5つ紹介します。
- STARメソッドを活用した質問:
STARメソッドとは、- Situation(状況)
- Task(課題)
- Action(行動)
- Result(結果)
の頭文字を取ったもので、応募者の過去の経験を具体的に聞き出すためのフレームワークです。 - 質問例:
- これまでの仕事で、最も困難だった状況(Situation)を教えてください
- その時、あなたはどのような課題(Task)を抱えていましたか?
- その課題を解決するために、具体的にどのような行動(Action)を取りましたか?
- その結果、どのような成果(Result)が得られましたか?
この質問をすることで、応募者の経験を具体的に把握できるだけでなく、問題解決能力や行動力、結果に対する責任感なども見えてきます。
- 深掘り質問:
応募者の回答に対してさらに深く掘り下げる質問をすることで、表面的な回答ではなく本音を引き出すことができます。- 質問例:
- なぜ、そう考えたのですか?
- 具体的に、どのような点が大変でしたか?
- もし、もう一度同じ状況になったら、どうしますか?
深掘り質問を繰り返すことで応募者の思考プロセスや価値観、問題解決能力などをより深く理解することができます。
- 質問例:
- 仮定質問:
「もし〇〇だったら」という仮定の状況を提示し、応募者の対応力や判断力を測る質問です。- 質問例:
- もし、納期が迫っている中で重大なミスが見つかったら、どうしますか?
- もし、チームメンバーと意見が対立したら、どのように解決しますか?
- もし、全く経験のない業務を任されたら、どうしますか?
仮定質問は、応募者の臨機応変な対応力や、プレッシャー下での判断力を見極めるのに有効です。
- 質問例:
- 逆質問を促す:
面接の最後に「何か質問はありますか?」と応募者に逆質問を促すことは、応募者の意欲や関心の度合いを測る上で非常に重要です。- 逆質問がない場合:
企業や仕事内容に対する関心が低い、または、質問する能力が低い可能性があります。 - 良い逆質問の例:
- 入社前に、何か勉強しておくべきことはありますか?
- 〇〇さんの、今後のビジョンを教えてください
- チームの雰囲気を教えてください
逆質問の内容から応募者の熱意や、企業研究の度合い、さらにはコミュニケーション能力までも見えてきます。
- 逆質問がない場合:
- 行動特性を問う質問(Behavioral Questions):
行動特性を問う質問は、応募者が過去の経験でどのように行動したか、具体的な事例に基づいて質問することで、その人の行動パターンや特性を把握する手法です。
これにより、将来の行動を予測しやすくなります。- 質問例:
- チームで目標を達成するために、あなたが最も貢献した事例を教えてください
- プレッシャーの中で、どのように成果を上げましたか?具体的な例を挙げてください
- 意見の異なる人と協力して、何かを成し遂げた経験はありますか?
これらの質問を通じて、応募者のリーダーシップ、協調性、問題解決能力など、さまざまな特性を評価できます。
- 質問例:
3: NG質問に注意!無意識に部下との関係を悪化させる言葉
面接官が、無意識のうちに使ってしまっているNG質問。
これらの質問は、応募者に不快感を与えるだけでなく、企業のイメージを損ね、最悪の場合は法的トラブルに発展する可能性もあります。
ここでは、絶対に避けるべきNG質問と、その代替案を紹介します。
- プライベートに関わる質問:
- NG質問例:
- 結婚していますか?
- 子供はいますか?
- 家族構成は?
- 恋人はいますか?
- 宗教は何ですか?
- 支持政党は?
- 尊敬する人物は?
- なぜNGか:
これらの質問は、応募者の能力や適性とは全く関係がなく、就職差別につながる可能性があります。
また、応募者に不快感を与え、企業の信頼性を損なうことにもなりかねません。 - 代替案:
プライベートに関する質問は一切しない。
どうしても確認したい場合は、入社手続きの際に、必要最低限の情報のみを収集する。
- NG質問例:
- 差別的な質問:
- NG質問例:
- 女性(男性)ですが、この仕事は体力的にきついと思いますが、大丈夫ですか?
- 〇〇(国籍、出身地、障がいなど)の方ですが、日本語は大丈夫ですか?
- なぜNGか:
性別、国籍、出身地、障がいなどに基づく差別は、法律で禁止されています。
これらの質問は、応募者に不快感を与えるだけでなく、企業のコンプライアンス意識を疑われることになります。 - 代替案:
応募者の能力や適性に基づいて質問する。- この仕事には、〇〇のような体力が必要ですが、問題ありませんか?
- 業務上、日本語でのコミュニケーションが必要ですが、問題ありませんか?
など、具体的な業務内容と関連付けて質問する。
- NG質問例:
- 圧迫面接:
- NG質問例:
- なぜ、そんなこともできないのですか?
- あなたの経験は、当社では全く役に立ちませんね
- あなたを採用するメリットは何ですか?
- なぜNGか:
応募者を威圧したり、否定したりするような質問は、応募者の能力を引き出すどころか萎縮させてしまい、本来の力を発揮できなくする可能性があります。
また、企業のイメージを悪化させ、優秀な人材を逃してしまうことにもつながりかねません。 - 代替案:
応募者の回答に対して冷静に、そして建設的に質問する。- 〇〇については、もう少し詳しく教えていただけますか?
- 〇〇の経験は、当社ではどのように活かせると思いますか?
- あなたの強みを、当社でどのように発揮したいですか?
など、ポジティブな言葉で質問する。
- NG質問例:
- 誘導質問:
- NG質問例:
- 当社の〇〇という理念に共感できますよね?
- 〇〇の経験はありますよね?
- なぜNGか:
面接官が期待する答えを応募者に言わせようとする質問は、応募者の本音を引き出すことができません。
また、応募者に迎合的な回答を強いることになり、正しい評価ができなくなります。 - 代替案:
オープンクエスチョンで質問し、応募者の自由な回答を促す。- 当社の理念について、どのように感じますか?
- 〇〇について、どのような経験がありますか?
など。
- NG質問例:
4: オンライン面接で差をつける!画面越しのコミュニケーション術
近年オンライン面接は、もはや当たり前の採用手法となっています。
しかし、対面での面接とは異なる注意点や、オンラインならではのコミュニケーション術を理解しておく必要があります。
ここでは、オンライン面接で差をつけるためのポイントを解説します。
- 環境整備:
- 映像:
- 明るい場所で、顔全体がはっきりと映るようにする。
- 背景は、すっきりとした場所を選ぶ。
バーチャル背景も活用できるが、不自然にならないように注意する。 - カメラの位置は、目線の高さに合わせる。
- 音声:
- 静かな場所で、周囲の雑音が入らないようにする。
- マイク付きイヤホンを使用すると、よりクリアな音声で会話できる。
- 事前に音声テストを行い、問題がないか確認しておく。
- その他:
- 面接中に、他のアプリケーションや通知をオフにする。
- 服装は対面での面接と同様に、清潔感のある服装を心がける。
- 万が一、通信トラブルが発生した場合に備えて連絡先を交換しておく。
- 映像:
- 非言語コミュニケーション:
- 表情:
- 画面越しでは表情が伝わりにくいため、意識して笑顔で話す。
- 視線:
- カメラを見て話すことで、相手に目線を合わせる。
- ジェスチャー:
- 適度にジェスチャーを交えることで、会話に抑揚をつけ、熱意を伝える。
- 相槌:
- 相手の話をしっかりと聞いていることを示すために、大きく頷いたり、「はい」「なるほど」などの相槌を打つ。
- 表情:
- オンラインならではの質問:
- 質問例:
- 普段、オンラインでのコミュニケーションで、心がけていることはありますか?
- リモートワークでの、自己管理について、どのように考えていますか?
- オンラインでのチームワークを、どのように構築しますか?」
- 質問例:
これらの質問をすることで、応募者のオンラインコミュニケーション能力や、リモートワークへの適性を見極めることができます。
また、企業側もオンラインでの働き方について、具体的なイメージを伝えることができます。
- 画面共有の活用:
オンライン面接では、画面共有機能を活用することで、より視覚的に情報を伝えることができます。- 活用例:
- 会社の紹介資料や、仕事内容の説明資料を共有する。
- 応募者のポートフォリオや、過去の成果物を共有してもらう。
- ホワイトボード機能を使ってアイデアを出し合ったり、図解で説明したりする。
画面共有は、対面での面接では難しい、双方向のコミュニケーションを促進する効果があります。
- 活用例:
- タイムラグへの配慮:
オンラインでは、音声や映像に若干のタイムラグが発生することがあります。- 相手の発言が終わるのを待ってから、話し始めるように心がけましょう。
- 早口になったり、一方的に話し続けたりしないように注意が必要です。
- 沈黙を恐れず、間合いを大切にしましょう。
オンライン面接のメリットを最大限に活かす
オンライン面接には、対面での面接にはないメリットも多くあります。
- 時間と場所の制約が少ない:
遠方の応募者とも、気軽に面接を行うことができます。
移動時間や交通費の負担も軽減できます。 - リラックスした雰囲気で面接できる:
応募者は、自宅など慣れた環境で面接に臨めるため、緊張が和らぎ、本来の力を発揮しやすくなります。 - 記録が容易:
面接の様子を録画・録音することで、後から振り返り、評価の参考にすることができます。
(ただし、応募者の許可を得る必要があります)
これらのメリットを最大限に活かすことで、より効率的で質の高い採用活動を行うことができます。
5: 面接後のフォローが肝心!入社後の関係構築につなげる
面接は、終わってからが重要です。
適切なフォローアップを行うことで、応募者の入社意欲を高め、入社後のスムーズな関係構築につなげることができます。
ここでは、面接後の効果的なフォローアップについて解説します。
- 迅速な結果連絡:
合否に関わらず、できるだけ早く結果を連絡しましょう。
遅くとも、1週間以内には連絡するのが望ましいです。
結果連絡が遅れる場合はその理由と、いつまでに連絡できるかを伝えるようにしましょう。
不採用の場合でも、丁寧な言葉遣いで感謝の気持ちを伝えることが大切です。 - フィードバックの提供:
合否の理由を具体的に伝えることで、応募者は自分の強みや弱みを理解し、今後の就職活動に活かすことができます。
特に、優秀な人材には積極的にフィードバックを提供し、入社意欲を高めましょう。
フィードバックは、具体的かつ建設的に行うことが重要です。- 〇〇の点が良かった
- 〇〇の点は、もう少し改善できると良い
など、具体例を挙げて説明しましょう。
- 内定者へのフォロー:
内定承諾後も、定期的に連絡を取り、入社への不安を解消しましょう。 - フォロー例:
- 入社前に社員との交流会や、職場見学の機会を設ける。
- 入社までの間に、課題図書や自己学習のための資料を提供する。
- 内定者向けのSNSグループを作成し、情報交換や交流を促進する。
これらのフォローを行うことで内定辞退を防ぎ、入社後の早期離職を減らすことができます。
入社後のオンボーディング:
入社後、スムーズに職場に馴染めるように、オンボーディングプログラムを用意しましょう。
- オンボーディングプログラムの例:
- 新入社員研修
- メンター制度
- OJT(On-the-Job Training)
- 定期的な面談
オンボーディングプログラムを通して、新入社員の不安や疑問を解消し、早期に戦力化することを目指しましょう。
長期的な関係構築を意識する
面接は、あくまでも採用活動の入り口に過ぎません。
大切なのは入社後も良好な関係を継続し、社員の定着率を高め、企業の成長につなげることです。
- 定期的なコミュニケーション:
1on1ミーティングやチームミーティングなどを定期的に行い、社員の意見や要望を聞く機会を設けましょう。 - キャリア開発の支援:
研修制度や資格取得支援制度などを充実させ、社員のキャリアアップをサポートしましょう。 - 公平な評価制度:
成果や能力を公平に評価し、適切な報酬や昇進の機会を提供しましょう。 - 働きやすい環境づくり:
ワークライフバランスを重視し、柔軟な働き方ができる環境を整備しましょう。
これらの取り組みを通して社員との信頼関係を築き、長期的に活躍できる人材を育成していくことが重要です。
まとめ:
面接は企業と応募者の相互理解を深めるための、非常に重要な機会です。
単なる選考の場として捉えるのではなく、「双方向のコミュニケーション」の場であることを意識し、適切な質問を通して応募者の本質を見極めることが求められます。
本記事では「もう面接で失敗しない!部下との良好な関係を築くための質問術」と題して、面接官が陥りやすい失敗パターンを分析し、効果的な質問テクニックや、注意すべきポイントを解説しました。
- 質問の重要性:
面接は双方向のコミュニケーションであり、質問力は採用の成否を分ける。 - 効果的な質問テクニック:
STARメソッド、深掘り質問、仮定質問、逆質問などを活用する。 - NG質問:
プライベート、差別、圧迫、誘導質問は避ける。 - オンライン面接:
環境整備、非言語コミュニケーション、画面共有などを意識する。 - 面接後のフォロー:
迅速な結果連絡、フィードバック、内定者フォロー、オンボーディングが重要。
これらのポイントを参考に面接の質を高め、優秀な人材を獲得し、そして、入社後の良好な関係構築につなげていただければ幸いです。
面接は、企業と応募者の「出会い」の場です。
この出会いを、素晴らしいものにするために、本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
そしてその出会いが、企業と社員双方の明るい未来につながることを願っています。